STORY

東京・品川で1997年よりクラフトビールを
丁寧につくり続けています

昔の自然なビールへの回帰

メソポタミアや古代エジプトの時代から数千年もの歴史を持つビール。ビタミンやミネラルなどの栄養分が多く含まれたビールは「液体のパン」とも呼ばれ、古くには薬としても用いられたこともあった貴重な飲物であり、中世ヨーロッパではブドウより大麦の生産に適した地域で広く飲まれたお酒でした。時代は流れ、技術の発達によって大量生産や流通の拡大が可能になるとビールは世界中に浸透していきましたが、近年になって逆の動きが始まります。もともと欧州では古くから小規模な醸造所が生活の中に溶け込んでいましたが、1980年代からはアメリカにおいても規制緩和により「マイクロブルワリー」や「ブルーパブ」が誕生するなど、欧米で伝統的な手造りビールの価値が見直され始めたのです。

日本にも手造りのビールを

日本での最初のビールは、明治3年(1870年)に米国人が設立した横浜の醸造所で造られたと言われています。文明開化のなかでビールは日本人の生活にとけこみ明治中期には100以上もの醸造所で造られていましたが、戦争を経て集約・再編され、その後は製造免許という参入障壁のため大会社による寡占が続きました。しかし規制緩和という時代の流れのなか1994年に酒税法が改正され、免許に必要な最低製造数量が年間2000kl(大瓶8700本/日)から60kl(同260本)に下げられたのです。これにより一時は300を超える小規模の醸造所が生まれ、夢をもってビール造りに挑戦してきました。ティー・ワイ・ハーバーもその一つとして1997年に誕生したのです。

工業製品ではない、本物の味を

ドイツでは16世紀に「ビール純粋令」が定められ、現在に至るまでビールの原料は麦芽(モルト)・ホップ・水だけと決めています。ところが大手メーカーでは、麦芽に代わる安価な原料として米やでんぷんなどの副原料を混ぜ、ビール本来の味よりも価格の安さを優先して麦芽が1/4にも満たない発泡酒を作り出し、大量・安定に生産するため様々な添加剤を利用しながら工業製品としてのビールを「製造」しているのが現状です。
また、ビール酵母にはビタミンB群、ミネラル、必須アミノ酸や食物繊維などが豊富に含まれていますが、微生物でもある酵母は非常に繊細で、大手のほとんどのビールは流通過程での品質劣化を防ぐため濾過によって酵母を取り除いてしまいます。日本の法律ではかつて酵母除去の主流だった加熱殺菌さえ行わなければ「生」と呼ぶことができるため長期保存可能な「生ビール」が存在しますが、本来の生ビールとは酵母が入ったままの生鮮品であるはず。もちろん私たちのビールは本来の自然な原料のみで手造りされ、できたそのままの状態で提供されています。

本当のビールを知ってもらうために

より多く売るために安く大量生産や流通の拡大という便利さと引き換えに失ったもの、それを取り返すべく私たちはこれからも伝統的な造り方でビールを醸造し続けていきます。そして地ビールこそが本当のビールなのだと知ってもらうこと、これが私たちの目指すゴールです。

BREWING PROCESS

1.精麦

大麦を水に浸して発芽させ、麦芽(モルト)を造ります。乾燥させると色が緑から黄金色に変わり、それがビールの色に。コーヒーのように強く焙煎すれば濃色のビールができます。

2.糖化

粉砕した麦芽を一定の温度で煮ることによって麦のでんぷんが麦芽中の酵素の働きで糖に変わり、甘い「麦汁」ができます。ここでの温度管理によって、ビールの個性が変わります。

3.煮沸

麦汁を濾過してから煮沸して糖分を調整しつつ、ホップを加えることでビール独特の香りと苦味をつけます。ホップの花言葉は「不公平」。ホップはビールの味わいと香りを左右するだけではなく、とてもデリケートな麦汁に雑菌が繁殖するのを防ぐ役割も担っています。

4.発酵

冷やした麦汁に酵母を入れて発酵させます。発酵とはつまり、酵母が糖分を分解してアルコールと二酸化炭素にするプロセスのこと。酵母は、職人が世界中のビール酵母の中からタイソンズアンドカンパニーらしいビールの味を目指し、こだわりをもって選んでいます。

5.貯酒と二次発酵

こうしてできた「若ビール」はまだ味が粗いため、数週間寝かせます。そうすると熟成がすすみ、美味しいビールのできあがり。ビールが子供から大人になる瞬間です。

6.そして

必要な分を濾過することなくケグ(樽)に詰めます。手を加えずに、生きた酵母が入った栄養たっぷりのビールを新鮮なままで。これが本当の生ビールです。