STORY

一杯から始まる、
心をつなぐ新しい流れ。

flow by nozy coffeeは、NOZY COFFEEにとって久々の新店舗となった。2010年にファウンダーの能城氏と仲間たちが三宿で創業し、2013年にタイソンズとの共同運営により二号店となる THE ROASTERY BY NOZY COFFEEを原宿キャットストリートにて開業。その誕生の経緯はそちらのストーリーで読んでいただくとして、まだシングルオリジンやサードウェーブという言葉がまったく浸透していなかった当時、飲食店の少ないキャットストリートに忽然と現れたTHE ROASTERYは、インダストリアルな空間に置かれた焙煎機の前で珈琲豆が売られ、バリスタが顧客とコミュニケーションをとりやすいようデザインされた八角形のアイランドカウンターはまるで彼らを主役とした舞台のようで、すぐに人が集まる店となったのだった。

しかし転機は突然訪れる。2019年12月、その後の店舗展開でつまずいたNOZY COFFEEが経営破綻。しかし能城氏を除くすべてのNOZY スタッフがタイソンズに移籍する形で運営を続けてくれたことにより、THE ROASTERY はNOZY COFFEEの名がつく唯一の店舗として生き残ったのだ(その後2022年に能城氏も入社)。 奇しくもその月の日経ビジネス誌では、編集長が創業1400年超の某企業を取り上げ、経営難で自己破産したものの支援企業による新法人に人材が移って事業を存続したことは、会社を器として考えれば「倒産」だが、中身で考えれば理念を守るかぎり「器が変われど事業が途絶えることはない」のだと書いていた。そう、NOZY COFFEEもまさに器としての会社は変わったがメンバーたちの理念は変わることがなく、今も自ら生産地を訪れて生産者との関係で仕入れた良い豆を焙煎から抽出まで一貫して管理し、みんなの想いがのった美味しいコーヒーを楽しんでもらう豆屋を目指しつづけることで、ブランドと事業は生き続けている。

そんなNOZYの京都進出は、場所との出会いがきっかけだった。2023年にKactoを開業してから頻繁に京都へ行くようになりコーヒー文化の浸透を肌で感じていたが、縁あって引き継いだ町家を見た時、ここにはNOZY COFFEEがとても合うと思ったのだ。Kactoの二軒隣であるため朝から一日中人の流れがあるのは理解していたし、鴨川越しに見る東山の景色や高瀬川の桜並木など季節の移ろいを深く感じる場所で、朝から夜まで色々な形でコーヒーの魅力や可能性に触れ、コーヒーを軸に人がつながっていくような店舗をつくれる気がした。当初は町家の雰囲気を残そうかと思ったが建物の状態が良くなかったためむしろモダンさを打ち出しつつ、抜け感のある店内は鴨川と高瀬川をつなぎ、まさに店名のflowのように様々な流れが生まれる場所となってくれるはず。NOZY COFFEEにとっての大きな一歩が、ここからまた始まる。


タイソンズアンドカンパニー 代表取締役社長 寺田心平


2026年1月。京都・鴨川のほとりに、新しい“流れ”が生まれます。

ここは、訪れた人々がそれぞれのペースでコーヒーと向き合い、バリスタとのコミュニケーションを楽しめる場所で、280年続く建物を改装して生まれました。京都という土地が持つ穏やかな時間軸に寄り添いながら、コーヒーの新しい楽しみ方が自然に立ち上がってくる、そんな空間を目指します。

長い歳月のなかで、コーヒーをめぐる価値観は大きく変化してきました。産地や品種、生産処理方法。その背景にある生産者との関係性。焙煎の方法や抽出技術、マシンの進化。そして、1杯のコーヒーの楽しみ方。NOZY COFFEEは常に品質と向き合い、「だいたい」ではなく、きちんと納得できる美味しさを追求してきました。flowも、その延長線上にあります。また、flowでは新しい挑戦を始めます。お客様一人ひとりに合わせて、バリスタがその場で組み立てる飲み比べメニューを用意します。決められた台本はありません。好み、気分、その日の天気、季節の移ろい。いくつもの要素を手がかりに、その人だけの“旅”を楽しむ体験です。行き先のわからない旅に出るようでありながら、確かに、これまで知らなかった味覚の景色に出会えます。ここから始まる小さな挑戦が、コーヒーの常識をまた静かに変えていけたらと考えています。

flowを象徴するコーヒー豆としてバイヤーが選んだのは、樹齢140年の古木が今も息づく、メキシコ・ラ・ロミータ農園のコーヒーです。この樹が育んできた時間の長さに触れると、「コーヒーとは何か」という問いが、静かに揺らぎはじめます。長い年月を超えてなお実り続ける生命力。その奥にある、生産者の努力と土地の記憶。280年の歴史を持つ建物の中で、このコーヒーは、また新しい歴史を刻んでいきます。古いものが示す未来。静かな力が生む、新しい価値。決して声高ではありません。けれど、気づけば心を動かしてくれる。flowが目指すのは、そんな存在です。

NOZY COFFEEは創業以来、「誠実なコーヒー」 を届けることを目指してきました。flowでは、その信念をもう一度見つめ直し、新しい挑戦を静かに積み重ねていきます。コーヒーは、まだまだ面白い。そして、その可能性はこれからさらに広がっていきます。flowから生まれる小さな変化が、やがて大きな流れとなり、コーヒーの未来を少しだけ前へ進めることができたなら、これほど嬉しいことはありません。


NOZY COFFEE ファウンダー 能城政隆