STORY

歴史をつなぎ、
最高のカジュアルレストランへ

レストランを作るときに世界観の表現を何より大切にする自分にとって、出店場所を決めるのは相当難しい。2003年に初めて自分で物件を探しシカダを開けた際は100軒近くを見てやっと決めたし、やがて様々な出店の話がくるようになっても、納得のいく物件に出会うまでお店を開けずあくまで物件ありきで出店を考えてきた。ただ、お店をやりたいと思ったときにタイミングよく良い物件に出会えてきたのは、ある意味で自分の持っている運の強さなのかもしれない。

クリスタの場所に以前あったのは、ティー・ワイ・ハーバーの立て直しからずっと一緒にやってきたデービッド・キドーが、日本に来てまず最初に働いた店だった。自分も学生時代に行ったことがあったが、青山通りから一本入っただけなのにとても静かで緑あふれるその空間は気になっていた。ただデービッドがその会社を辞めてうちに移ってきてから、業態が変わったりしたものの順調なようには見えなかったので、たまたまつながりのあったその会社の社長に「いつか出ることがあったら教えてください」と言ったところ、「あんないい場所は出ないよ」の一言・・・

ところが1年以上経った頃だろうか、その会社から連絡があり店舗を閉めることになったので話がしたいとのこと。シカダ開業から2年が経ち次のプロジェクトを進めたいと思っていた私たちにとっては渡りに船で、とんとん拍子に話は進み、2006年にシカダに続く3店舗目となるレストラン「ビーコン」がオープン。当時はまだ穀物飼育されたUSビーフのステーキを出す店が外資系ホテル以外にほとんどなく、グリルレストランとして一定の評価を受けることができた。

そして10年が経った2016年、私たちが考える「最高のカジュアルレストラン」を目指そうという思いとともに、ビーコンは新しく「クリスタ」として生まれ変わった。東京だからこそできる日本らしい季節感を重視したモダングリル&バーとして、タイソンズのトップウェイターを集め、私たちが考えるタイソンズらしいホスピタリティを実現する場として新たな歴史を歩み始めたのである。

店名の「CRISTA」は、英語「CREST」の語源となったラテン語で本来は鳥のトサカの意味だが、転じて「頂上」、あるいは西洋の紋章のなかで王冠の上に輝くシンボルを意味する。日本語で言えば兜飾り、直江兼続の「愛」の字は有名だが、戦国武将が兜の上につけ命懸けの戦場で主張した自分のアイデンティティーそのものである。クリスタは、様々な縁のあったこの地で、様々な店の記憶を残しながら、タイソンズのフラッグシップとして輝き続けていく。